都庁で雨漏り? | 東京22ちゃん~テレ東系、博報堂生活総研派、ブログ~

都庁で雨漏り?

1991年に千代田区から移転した東京都庁

この東京一大きいビルは、完成から15年もたたないうちに、雨漏り問題を抱えることになった。


toyou1

東京の自治と文化のシンボルである、「新都庁舎」。第一本庁舎、第二本庁舎、都議会議事堂などからなる新都庁舎は、高層ビルが林立する新宿新都心にあってもひときわその威容を誇っている。設計のコンセプトとしては、新宿新都心周辺のなかで調和のとれた、しかも世界都市TOKYOにふさわしいシティホールの完成が念頭に置かれている。建物にはスーパーストラクチャー構造を採用し、高い耐震性を確保している。「第一本庁舎」には、知事執務室をはじめ各局のオフィス、職員食堂などの各施設が、それぞれ最先端のインテリジェント機能のもとに集約されている。

設計を担当したのは、丹下健三氏江戸時代の城をイメージした重厚な外壁と、モダンなデザインの融合した。建設には1100億円強かかった。

そんな東京都庁が雨漏りしまくっているのだ。15年もたたないうちに。

ちなみに雨漏りを全て修復するには、1000億円ほどかかってしまう。これでは、もう一度立て直すのと同じぐらいの費用がかかってしまう。

原因は、あまりにも奇抜すぎるデザインのため、修復にはかなり複雑な作業が要求されるためである。なんてことだ。

近年、メトロセクシャルを目指す若者の間で、デザイン雑貨やデザイナーズマンションといったデザイン重視のモノが流行しているが、私達が日々利用するモノのよしあしを、デザイン一辺倒で考えてしまっている傾向がないだろうか?都庁の雨漏り問題は、まさにデザイン至上主義に警鐘をならしている。

本当に素晴らしいデザインとは、使う人の気持ちをちゃんと汲み取った、アフォーダンスのよいものでなければならない。これについては、最近十分考慮されたデザイン○○が登場してきているので、まあ問題ないだろう。例えば、貝印が、最新の人間工学によって考案した、手にしっかりフィットする調理器具シリーズは、美しいデザインと使い勝手が両立する優れた商品である。

しかしながら、問題の本質は、もうちょっと先にある。それは、時間の経過と共にあらわになる。つまり、修理や修復の問題であり、いかにデザインとアフォーダンスに優れていても、一度壊れてしまうと、その構造が複雑すぎて修復や修理ができないというモノではまずいのだ。使いやすい、そしてカッコイイ、そんなケータイでも、使い終わった後に、金やプラチナが再利用しづらい構造であっては、何の意味も持たない。快適で、伝統文化の要素を取り入れた最新の建築であっても、雨漏りの修理一つ満足にできない複雑な構造では、素晴らしい建築とは言えないのだ。

そう。これからの時代、デザインは、時間軸の要素を取り入れないと、大量消費社会の迷宮から抜け出すことはできないのだ。