宇宙ゴミを考える | 東京22ちゃん~テレ東系、博報堂生活総研派、ブログ~

宇宙ゴミを考える

一昔前、東京中のゴミが集まる埋立地、夢の島が、名前から想像するにはあまりにもギャップがあるということで話題になった。

21世紀。そんな話題は、大気圏を越えて宇宙に到達してしまった。


世界中の子供達が憧れる宇宙に、現在、9000以上のスペースデブリ(宇宙のゴミ)が地球の周囲を回っており、数年後にはさらに状況が悪化すると予想されていることが明らかになった。しかも、こうしたゴミを安い費用で片付けられる有効な方法は、今のところ存在しない。

米航空宇宙局(NASA)の研究者J・C・リョウ氏とN・L・ジョンソン氏の報告によると、10センチを超えるほどの大きさのスペースデブリは、合計すると約5500トンになるという。この調査報告は、『サイエンス』誌の1月20日号に掲載されている。
ちなみにスペースデブリが最も多いのは地球表面から890~1010キロメートルほどのゾーンで、有人宇宙飛行に危険を及ぼす恐れは少ないとの見解。リョウ氏によると、『国際宇宙ステーション』(ISS)は高度約400キロにあり、スペースシャトルはほぼ高度400~600キロの間を飛行することが多いという。

しかしながらスペースデブリは、民間による宇宙飛行や研究目的の飛行など、さまざまな宇宙活動を危険なものにする恐れがある。また、超高速で地球の周りを浮遊しているので、宇宙遊泳中に小さなスペースデブリが接触すると、ひとたまりもない。

このスペースデブリの多くは、人工衛星が破砕されて生じる。なかでも、燃料や高圧流体を残したまま軌道上に放置された古い上段ロケットの爆発が多い。
NASAが2004年に発表した報告によると、スペースデブリを最も大量に出しているのはロシアで、米国がわずかな差でその後に続いているという。他にはフランス、中国、インド、日本、欧州宇宙機関などが挙がっている。

よって、「宇宙での研究や民間宇宙飛行に立ちはだかる将来の問題を未然に防ぐ」には、既存の大きな物体を軌道から取り除くしかない。
ただし、今のところ技術的にも経済的にも、宇宙空間からものを取り除く現実的な方法は存在しないのが、現状である。リョウ氏たちによると、軌道上の物体にロープのようなものをつけて減速させれば地球に戻ってくる時期が早まる可能性もあるが、効果のわりには費用がかかりすぎるという。

かつて、夢の物質と称された「フロン」が、オゾン層を破壊したように、人間の夢を乗せて打ち上げられた人工衛星が、スペースデブリとして、地球外環境を悪化させている。

我々の進化の歴史は、常に弁証法的な発展を余儀なくされており、いかにアンチテーゼ(環境問題)を止揚して、ジンテーゼ(それを超越した発展)に辿り着けるかが、永遠の問題であろう。