マナーをお洒落にケータイする | 東京22ちゃん~テレ東系、博報堂生活総研派、ブログ~

マナーをお洒落にケータイする

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画像が粗くてごめんなさい。

日本を訪れた多くの外国人に、日本のイメージを聞いてみると、「日本人はとにかくお洒落に気を遣う」という意見がちらほらと出てくる。

外見ばかり気にして、ない面をあんまり気にしていないともとられてもおかしくないこういった日本人の傾向が、実は意外なところで街の美化に貢献するかもしれない。

たばこのポイ捨て防止に欠かせない携帯用灰皿のファッション化が進んでいるのだ。今年7月に増税に伴うタバコの値上げが実施される、JTにとって、携帯灰皿の普及による喫煙マナーの向上は、イメージの改善に繋げることができるひとつの戦略といってもいい。

JTは、4月3日に虎ノ門にあるデッカイ本社ビルの一角に、世界初の携帯灰皿ミュージアム、「Mobile Ashtray Museum」を開設。4百を越える携帯灰皿をはじめ、ライター等の喫煙関連グッツを販売している。

中にはブランド品の携帯灰皿もあるというから驚きだ。

このお洒落な携帯灰皿。昨年火がついた「ホワイトバンド」と同様に、国際協力=かっこいい!→街の環境美化=カッコイイ!という流れにのって、火がつけば、東京をはじめたくさんの都市から、ポイ捨てが激減するかもしれない。シンガポールが、タバコのポイ捨てをしたら強制労働!という、なかば権力服従型の政策により、街の景観を保っていることを考えると、非常に自発的で先進的な方法であると思う。

しかしながら、ファッション化に伴う携帯灰皿の普及には、大きな問題点も存在する。それは、携帯灰皿があるからこそ、逆に街のどこででも、タバコが吸えてしまうという問題である。

ケータイ電話があるから、電車の中で通話する人が急増するという論理と全く同じ。

JTには、わるいが、携帯灰皿の普及は、せっかくJRや都バスが喫煙ゾーンの大幅な縮小に踏み切ったのにもかかわらず、それをくしくも踏みにじる行為としか、私には認識できない。(まあ、たばこの会社だからしょうがないケドね。)なぜなら、社会から撤去された灰皿が、再び形を変えて大量に帰還しているようなものだからだ。これでは、街中が歩きタバコ天国になってしまう可能性だってある。

つまりは、何かをケータイするということは、必然的に公共やコミュニティの管理をすりぬけて、ある程度自己責任において、その何かを使用するということになる。現時点の日本人の喫煙状況を考えれば、携帯灰皿の普及は、自己責任が悪い方向(まあ、ポイ捨てはしないのだからいいだろう。)に働いてしまうことは否めない。(ハーバーマスが主張するような理性がしっかりした人間の集合体であれば問題ないのだがw)

とにもかくにも、現在普及しているモノを小さくする(モバイル化する)ということは、本当に難しい問題をはらんでいるような気がする。